以前、現代人はファストフードのような軟らかいものばかりを食べているから顎が小さくなったのでは?
ということが言われた事があるし、今でもそう思っている方が何と歯科関係の方にもいるようだが、今ではこれは間違った考えであることがわかっている。
実際に、解剖学者で縄文時代、江戸時代、明治時代、そして現代の日本人の顎の大きさを調べた方がいるのだが、現代人の顎は決して小さくなっていない。
これは随分前から解剖学会で定説になっている。
顎の大きさが小さくなったのではなく、むしろ現代人は栄養状態が良くなったせいか、歯の大きさが以前よりも大きくなっているのである。
そのため、歯が並びきれなくなったので歯並びが良くない人が増えたのだ。
もちろん、よく噛むことは重要だ。例えば、食事を食べるときにひと口で30回噛むと唾液が十分に食物に混ざって消化が良くなるし、脳に刺激が行くので良いと言われている。
ただし、やみくもに噛むことは、むしろ百害あって一利なしである。
それは最近とても増えている噛み締め、食いしばり、歯ぎしりといったブラキシズムのひとつの原因がこの間違った噛み過ぎであることがわかっているからである。
例えば、以前は千葉市若葉区の桜木消防署近くのピュアスマイル原田歯科クリニックでもキシリトールガムを販売していたが、今では販売しなくなった。
それは、間違った噛み過ぎで奥歯(臼歯)で噛むときの顎の筋肉(咬筋など)が鍛えられてしまい、これを頻繁にやられると一種の筋トレ状態になるため、ただでさえ毎日使う顎を開閉する筋肉がさらに強くなり、これが原因で歯が割れる(→多くの場合、抜歯になります)、詰めたものが頻繁に取れる、被せ物がはずれる、インプラントのアバットメントがゆるんだり、折れる、インプラント自体が折れるなどありとあらゆるトラブルが起きます。
正しい咬み方は、まず前歯で噛み切る、次に奥歯ですりつぶす。これが大事です。
実際はいきなり奥歯で噛んでいるケースが結構あります。これだと咬筋だけがますます鍛えられてしまいます。
そのためには、お子様に食事を作る際には、まず前歯で噛み切りやすい形にして出すなどの工夫が必要です。
例えば、野菜やカツはスティック状にする。こうすると自然に前歯で噛むようになります。
繰り返しますが、まず前歯で噛んでから奥歯で噛む、これが大事です。